【替え歌】将軍様とプルトニウム(原曲:ロミオとシンデレラ)

核兵器
08 /21 2020
原曲「ロミオとシンデレラ」

某国の核開発をテーマにした替え歌です。



私の核を悲劇のジュリエットにしないで
ここから連れ出して…

そんな気分よ

米と露におやすみなさい
せいぜい いい夢をみなさい
大国はもう寝る時間よ

咽返る魅惑のプルトニウム
原子炉でウランから生む
今夜はどこまでいけるの?

遠心分離機 難しいし
軽水炉も向いてないの
黒鉛炉な研究炉建てたせいね

持てない核があるのならば
持ちたいと思う普通でしょ?
全部見せてよ
あなたにならば見せてあげる機密の…

ずっと恋しくてプルトニウム
黒鉛炉だけで駆けていくわ
中性子の照射を止めてよ
悪い国に 邪魔されちゃうわ

取り出したいのプルトニウム
でもその名前を呼ばないで
そうよね 隠さなくちゃね
そうじゃないと楽しくないわ

ねぇあの国は見逃してくれる?

背伸びをした核燃料
いい炉になるよきっと明日から
今だけウランを燃やして

三つ葉マークの燃料棒
将軍様は暴れん坊
開発どこまでいけるの?

叩かれる程に ヤバイ程に
好きにやってたのはあなたでしょ
米はでもね私のこと嫌いみたい

私のためと差し出す手に
握ってるそれは核のボタン
飛び出してよ 私の弾頭
叱られるほど遠くへ

金がかからないプルトニウム
ウラン濃縮は止めておくわ
だからね早く見つけないでね
再処理で焦らされちゃうわ

きっとあの国もそうだった
廃絶なんて嘘をついた
そうよね 私も同じよ
だってもっと軍拡したいわ

ほら 私はここにいるよ

私の炉心そっと覗いてみませんか
プルトニウムだけあふれかえっていませんか
まだ低純度よもっともっとぎゅっと兵器級で
いっそ弾頭の核出力までも下げてしまおうか

でもそれじゃ意味ないの

大きな核より小さな核がミサイルに積めるらしい
どうしよこのままじゃ私は
将軍様に嫌われちゃうわ

でも私より欲張りな米と露は今日も変わらず
そうよね 素直でいいのね
落としたのは核の傘でした

嘘つきすぎて核査察
米国に怒られたらしい
どうしようこのままじゃ私も
いつかは制裁されるわ

その前に助けに来てね
スポンサーサイト



北朝鮮の水爆開発と、「濃縮リチウム」の実態

核兵器
10 /30 2017
核兵器開発といえば、一般的には高濃縮ウランや兵器級プルトニウムといった、核分裂性物質の製造や輸出入に焦点が向けられます。これらは原子爆弾に用いられる重要な材料ではありますが、そこから進んでブースト型原子爆弾や、水素爆弾を開発しようとなった場合に必要な材料として「リチウム」が挙げられます。

北朝鮮が水爆を開発しようとした場合、「水爆用のリチウム」を開発する必要があります。水爆用のリチウムとは、同位体である「リチウム6」を濃縮した「濃縮リチウム」であり、これが水素爆弾において重要な核融合燃料となるばかりか、原子爆弾の起爆装置や、強化型の原子爆弾(ブースト原爆)にも利用が可能な「トリチウム」も生産できるということになります。

天然に存在するリチウムには、その92.5パーセントが「リチウム7」であり、残りの7.5パーセントが「リチウム6」です。どちらも核反応によってトリチウムを生産することができますが、「リチウム6」の方がより少ないエネルギーでトリチウムを生成することができるため、このリチウム6の比率を高めた「濃縮リチウム」が核兵器に用いられるのです。

リチウム(Li)と中性子(n)の核反応式

Li-6 + n → He-4 + T + 4.78MeV (1)
Li-7 + n → He-4 + T + n - 2.47MeV (2)



(1)のリチウム6の核反応は核反応とともにエネルギーを発生させる発熱反応ですが、(2)のリチウム7の核反応は、エネルギーを吸収して引き起こされる反応です。また、(2)はエネルギーの高い高速中性子で引き起こされやすい反応であり、エネルギーの低い熱中性子でも反応を引き起こしやすい(1)の反応のほうが、より効率的にトリチウムを生産できます。

ウランやプルトニウムと異なり、あまり触れられることのない物質ですが、現代の核兵器開発において非常に重要な物質であるため、北朝鮮国内の動きに注目したいところです。北朝鮮は以前から水爆を開発していると明言していましたが、リチウムを巡る動きを見れば、その可能性をより高めるものであること、またこれまでの核開発そのものが順当なものであり原子爆弾開発の事実をも裏付けるものでもあるのです。


核兵器と核融合燃料


現在配備されている多くの核兵器は、おおよそ段階的に

・純粋な核分裂兵器(原子爆弾)
・小規模な核融合を利用し、核分裂の効率を高めたブースト型原子爆弾
・大規模な核融合と核分裂を併用した核融合兵器(水素爆弾)


の3種類に分類することができます。
核兵器に核融合を利用する場合には、核融合反応を起こすための燃料として、重水素とトリチウムが利用されます。
重水素同士の核融合反応である「D-D反応」と、重水素とトリチウムの核融合反応である「D-T反応」の2つの反応が生じますが、より反応を起こしやすいD-T反応が主に生じることになります。

重水素は自然界にも極微量ながら存在するため、電気分解などで得ることができます。しかしトリチウムは宇宙線の核反応によって発生するものが高層大気中にわずかに存在する程度です。そのため実用的な量を得るには、人工的に生成する必要があります。トリチウムはリチウムに中性子を照射することで生成することができるため、兵器級プルトニウム生産用の原子炉でトリチウム生産も並行して行う場合が多く見受けられます。ウランに中性子を照射してプルトニウムを作り出す、プルトニウム生産用原子炉は運転中の頻繁な燃料交換に対応しているため、トリチウムの生産にも用いやすいのです。

続きを読む

機密解除された核実験映像

核兵器
10 /17 2017
今年3月、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)が機密解除された核実験映像を公開しました。



http://www.youtube.com/playlist?list=PLvGO_dWo8VfcmG166wKRy5z-GlJ_OQND5
▲こちらのローレンス・リバモア国立研究所のYouTube再生リストでご覧いただけます!



過去行われた大気圏内核実験は210回にも及びますが、そのうちの多数の映像が公開されました。
これらの映像は、コンピュータ上で行われる核爆発シュミレーションとの比較に用いられ、核兵器の安全性や性能維持に役立てられるほか、凄まじい威力を映像の形で公表することで「核兵器の使用を抑止しよう」という啓発も目的としています。



YouTube上に公開された核実験映像の一部をご紹介*\( ´ω` )/*



ハードタック作戦・ナツメグ実験
実験場所:ビキニ環礁
実施日:1958年5月21日
核出力:25.1キロトン




ドミニク作戦・アンドロスコギン実験
実験場所:ジョンストン島
実施日:1962年10月2日
核出力:75キロトン




プラムボブ作戦・ディアブロ実験
実験場所:ネバダ核実験場 エリア2b
実施日:1957年7月15日
核出力:17キロトン




ドミニク作戦・ホーサトニック実験
実施場所:ジョンストン島
実施日:1962年10月30日
核出力:8.3メガトン

北朝鮮が公開した「水素爆弾」の構造に関する考察

核兵器
10 /05 2017
先月、北朝鮮が再び核実験を実施し、大きなニュースとなりました。

そして、この核実験の直前に北朝鮮は「水素爆弾」としてある画像を公開していました。
ぱっと見るとメタリックなピーナッツにしか見えませんし、北朝鮮側も画像以上に詳細な情報を開示したりはしませんでした。

北朝鮮が公開したこの「水素爆弾」がどういうものであるのか、ちょっと考察してみたいと思います。

DIwj4a4V4AARzpO.jpg

DIwj4c9UQAEVoAr.jpg

▲北朝鮮が公開した水素爆弾の画像


続きを読む

北朝鮮の核実験の実態やいかに!? ~プルトニウム生産能力と「ブースト原爆」の脅威~

核兵器
09 /10 2016

先日北朝鮮がやっちゃった核実験、核出力10キロトンということで弾道ミサイル開発に加えてこちらも確実に実用化に近づいておりますねェ(´ºωº`) 実は北朝鮮は今年6月の段階で核兵器用プルトニウムの生産を再開してたっぽい事がIAEAから発表されてました(゜д゜)


熱出力5000キロワットの黒鉛炉の稼働と再処理施設の動きから作られたというプルトニウムが今回使われたのかもしれません。北朝鮮がどれくらい核兵器に適した高純度のプルトニウム239を、再処理で抽出できるかはわかんないんですけど、今年1月の「水爆実験」と称した核実験が気になります。

ブースト原爆の可能性


水爆程ではないにしろ、同じように核融合を利用して中性子で原爆の出力を増強させるという「ブースト原爆」の実験だったとしたら…

ブースト原爆は、プルトニウムの核分裂の熱エネルギーで重水素とトリチウムを核融合させ、その時出る中性子でプルトニウムをさらに核分裂させて核兵器としてのパワーを向上してます。
つまり普通は十分な核爆発に至れないような多少質の悪いプルトニウムでも核爆発できるレベルまでもっていけるかも?という。トリチウムをリチウムから生産するための設備が必要になったり、ブースト原爆の開発も大変です。
リチウムに中性子を照射する原子炉と、照射した後にそこからトリチウムだけを単体で取り出す必要があるのです。あと質の悪いプルトニウムは同位体比の関係で放射線量と発熱量が多くなる場合があって、組み立て時の被曝とか、発熱の機器への影響があったり。
普通に原爆を作るより技術が必要になる場合もあるのです。核兵器の拡散防止を担保してるのは「保障措置」というウランやプルトニウムみたいな核分裂性物質の規制や管理なのです。

それに比べて核融合燃料の重水素やトリチウムは入手は遥かに容易で、重水素なんてそこら辺の海水から分離できます。トリチウムは原子炉があれば副産品として作れますし。

核兵器の拡散は防げるか?


核兵器の拡散防止のため、IAEAではプルトニウムの質の良し悪しは特に関係なく「プルトニウム238が80パーセント以上のもの以外」すべて保障措置の対象です。ちなみにプルトニウム238の割合が80パーセント以上のプルトニウムって何かというと、宇宙探査機用の原子力電池に利用される熱源です。
プルトニウム238は他のプルトニウム同位体と比較して発熱量と、中性子線量が桁違いに大きく、プルトニウム238は最も核兵器に使用できないプルトニウム同位体なのです。原子力発電所の核燃料にプルトニウム238を混ぜることで、その核燃料が核兵器の原料に転用されにくくする研究もあります。
なので核兵器に適したプルトニウム239が93パーセント以上という、いわゆる「兵器級プルトニウム」じゃなくても核兵器に転用できる可能性が(将来含めて)ありえるかもって事かもしれません。この重水素とトリチウムの核融合による「ブースト」技術などがあれば、必ずしも兵器級と言われる程質の良いプルトニウムでなくても、核兵器に転用できる可能性があるということです。
もちろん高品質な兵器級プルトニウムを作れるに越したことはありませんが、比較的入手しやすい技術で、核兵器には「兵器級プルトニウムが必要」という条件を緩和できるかもしれないのです。その点北朝鮮がどれくらい技術やノウハウがあるのかは未知数ですが、脅威の度合いは時間と共に大きくなっているのです。
つまり北朝鮮に兵器級プルトニウムを作る能力があればもちろん脅威ですし、兵器級プルトニウム程質の良いプルトニウムを作れなくても、ブースト原爆などの技術が確立されてればそれも脅威というわけなのです。

今井智大原子力

いまいともひろです。

偉大なる88年生まれ
偉大なる三重県出身 偉大なる東京都在住
今井智大公式サイト
原子力・科学技術愛好センター
ともにゃんねる