原子力機構、高崎量子応用研究所へ行って来ました(1)~チェレンコフ光を見た!~

原子力
04 /07 2013
週末は「春の嵐」でかなり荒れておりましたが本日は良い感じに天気も良くなり

前々から行きたかった日本原子力研究開発機構(JAEA)の高崎量子応用研究所の公開に行って来ました。この「花と緑の見学会」は年一回、春先に行われます。

朝7時半頃に自宅を出て、上野駅へ。高崎線の快速アーバン号に乗って高崎駅の一つ手前の倉賀野駅へ一時間半弱の旅。グリーン車にして旅気分をプラス!

途中上野の科博のラムダロケットや大宮の鉄道博物館などなどを車窓に見つつ群馬県へ。

R1112425.jpg
研究所の正面入口

倉賀野駅から徒歩で大体30分くらいひたすら3km程歩くと研究所に到着!バスは高崎駅あたりからは出ているようだったのですが二時間に一本しか無かったのでもう歩いてしまわれる事にしました。

到着したのが11時前くらいだったので流石に人もまばら。

今回の公開では、「コバルト60ガンマ線照射施設」、「イオン加速器『TIARA(ティアラ)』」、「一号加速器」、「サイエンスプラザ」などの構内施設の見学が案内付きで可能でした。


●コバルト60ガンマ線照射施設

R1112423.jpg
コバルト60ガンマ線照射施設

半球状の可愛い建物が目印。ここはコバルト60という半減期が約5年の強力なガンマ線源の放射性物質を用いて様々な照射実験を行う施設です。例えば殺菌や、半導体素子への照射による効果を調べたり、原子炉で利用される機器や材料の試験を行う事ができます。

R1112260.jpg
放射能標識が見えます。
第二種の放射線管理区域なのですが今日は一般公開日なので一般人も入れます!

R1112299.jpg
天上がとても高いです。

R1112286.jpg
研究施設!って感じ!

プラスチックなどを直射日光にさらすと脆くなったり変色するように、高いエネルギーを持つ放射線が当たった物は変質したり壊れてしまったりする事があります。そういった現象に強いものを開発するするための実験施設として民間企業などとも共同で利用して産業の発展に役立っている装置です。

R1112261.jpg
コバルト60線源の模型

コバルト60はコバルト59に中性子を照射することで生産され、その線源は円筒形のチューブの中に格納され、それがさらに板状に並べられた状態で、プールの中にに沈められています。

コバルト60が放つガンマ線は水中で大きく減衰し、水深3.6メートルでほぼゼロになります。プールの水深は4メートルあるので、普段使わない間はプールの中に沈められており、照射を行う際に昇降装置で水面上に設置した照射したいものの正面まで吊り上げてくるという仕組みです。

この時人が近くに居ると被曝してしまいますので、これらは全て分厚いコンクリートの中の部屋の中で遠隔操作で行われます。万が一照射室の扉が開いたり、地震などの非常時にはコバルト60の線源は直ちに水中に格納されるそうです。プールの水面も制御室から監視されており、安全にコバルト60を取り扱えるようになっています。

R1112263.jpg
照射室外側

この水色のコンクリートの壁の中に照射室があり、そこにコバルト60の線源があります。
ナナメに伸びた二本の細長い装置はマニピュレータです。外から中の照射する物やコバルト線源を操作するためのものです。

R1112266.jpg
マニピュレータ部を拡大。
手で持って操作する部分があります。黄色い窓ガラスは鉛を混ぜた非常に分厚いもの。内部からのガンマ線をシャットアウトしつつ中を見ることができますが、内側にあるシャッターが閉じられているので何も見えませんでした。


R1112397.jpg
ここは制御室です。
こちらは古い操作コンソールだそうで。

R1112401.jpg
こちらが新しい操作コンソール。
放射線量の監視やプール水面、人が入っていないか、扉が開いていないかなどを確認できるインターロックのシステムなどが一目でわかるようになっています。



コバルト60の照射室は3つあり、うち2つは使用中だったのですが、残りの1つが開放されており、中を見学させて頂けました。

R1112296.jpg
この中に入ります。どきどき!わくわく!

入ってから通路がコの字型に折れ曲がっており、ガンマ線が部屋の外に漏れないように迷路みたいになっています。

R1112406.jpg
写真ではわかりにくいですが壁はとても分厚いです。

見学の際には照射室の中で水中に格納されているコバルト60も見せて頂けました。

R1112409.jpg
照射室の中。
右上のマニピュレータは外側にあったものと繋がっています。
左下の水面が水深4メートルのプールです。

薄暗くされた照射室の中ではガンマ線によって発生する青白いチェレンコフ光を見ることができました!

R1112416.jpg
スッゲェエエエエエーー!!!!

チェレンコフ光とは荷電粒子が光のスピードを超えた際に起きる発光現象です。光のスピードってナニモノも超えられないんじゃないの!?ってそれはそうなのですが、水中などでは空気中と比べて光そのものの進むスピード自体が屈折率に応じて若干遅くなります。そのため荷電粒子が光の速度を越える事ができ、その際に発生するのがチェレンコフ光なのです。

ピンと来にくいものですが、例えば戦闘機などが音速を突破する際に発生するソニックブームという衝撃波がありますがそれと同じような感じで光の速度を超えた時の衝撃波が光となって見えるイメージです。

深いプールの奥底でぼんやりと淡く輝き、神秘的で美しい光です。この独特さは是非現地で皆さんにも味わって頂きたいなーと…!物理現象が起こす不思議な光です。

チェレンコフ光は個人的には富士の総合火力演習と同じくらい見たかったものです。今回初めて見ることが出来ました。いやあホントに感動しました。2回も見に行ってしまいました。「…二回目なんですけどいいですか?」って聞いたらどうぞどうぞって快く受け入れてくださいました…!

本当に青白いっていう表現がピッタリの光です。うーん魅力的。見れて幸せです。科学ファンの方もそうでない方も、一生に一度見ておいても損はないです!(絶賛)



後の施設については次回の記事に書きたいなーと思います!



~つづく~
スポンサーサイト

【宇宙】土星探査機「カッシーニ」のリモートセンシングパレット

宇宙
04 /03 2013
1997年に打ち上げられ、2004年に土星周回軌道に投入されてから今も活躍を続けるNASAの土星探査機カッシーニ。

6トン近い大型の機体に、3基の原子力電池や2基のメインエンジン、衛星タイタンへの着陸船「ホイヘンス」多くの科学観測機器を搭載しています。

その中でも光学的な科学機器にスポットを当ててみました。

R1111596.jpg
Credit:NASA/JPL/SPILAB

続きを読む

ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。