【原子力電池】英国のアメリシウム241を用いた原子力電池

宇宙
08 /11 2014
先日、彗星探査機「ロゼッタ」が目的地のチュリモフゲラシメンコ彗星へ到着しました。

ロゼッタは彗星へと到着するまでの軌道が木星公転軌道付近にまで及ぶため、その辺りでは搭載された太陽電池での電力供給が十分で無く、探査機をスリープ状態にする必要がありました。

Full sized model of a 10W electric americium-241 powered “space battery”(PDF文書)


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(Credit:NNL)



欧州宇宙機関(ESA)ではかねてより原子力電池や宇宙用原子炉を用いた惑星探査ミッションを検討しており、今あるのはこちらのイギリスの国立原子力研究所(NNL)による電気出力10Wのアメリシウム原子力電池の計画です。
原子力発電所からの使用済み核燃料に含まれるアメリシウム241を用いる事でプルトニウム238を使用した従来の原子力電池を代替しようというものです。

半減期が約400年ほどと長いために超長期間に及ぶ太陽系外惑星以遠の探査ミッションには適していますが、そのぶん単位重量あたりの崩壊熱出力は小さくなるため、比較的多くの量が必要になります。

また低エネルギーのガンマ線も放出するため、一部の観測機器への影響が及ばないよう遮蔽などを考慮しなければならない場合もあります。

一方でプルトニウム238よりも安価に製造できる上、本来は放射性廃棄物として扱われてしまう事になるアメリシウム241を利用できるとあって研究が進められています。

NNLでは銀触媒を用いた化学分離プロセスで二酸化プルトニウムからアメリシウムと銀を分離し、銀を回収する事で99.7パーセント以上の純度でアメリシウムを回収できたとあります。

原子力電池用の放射性同位体生産においては再処理工程での化学分離などの点も含めて安くたくさん作れれば様々な探査ミッションで原子力電池を使える可能性が広がると思います。現状では原子力電池は大規模なフラッグシップ級のミッションにおいてのみ利用されているため、もっと中規模の探査ミッションでも広く利用されればと思います。
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ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住