核弾頭で小惑星を破壊せよ!地球を守るNASAの「HAIV」計画と科学探査!
宇宙
太陽系には無数の小惑星が存在しています。その中でも地球近傍小惑星(NEO)と呼ばれるものは、文字通り地球の公転軌道に近い軌道を持つ小惑星です。これらはものによっては地球へ衝突する可能性があるとされ、警戒の対象ともされています。
さて、映画「アルマゲドン」のように小惑星が地球へ衝突しそうだ!となった場合一体どうするのでしょうか?
天体は秒速数十キロというものすごい速さで移動しているため、数キロ程度の小惑星であっても衝突時のエネルギーは凄まじいものになり、全地球規模の気候変動すら引き起こしうる大災厄となります。
その対策の一つとして考案されたのが核弾頭による小惑星の破壊です。NASAの「HAIV」計画では、核弾頭を搭載した宇宙機をロケットで打ち上げ、小惑星にぶつけて破壊して地球に降り注ぐ破片を小さなものにしてしまおうというものです。

機体は「リーダー機」と「フォロワー機」の2機で構成されています。リーダー機はフォロワー機に先行して小惑星に衝突してクレーターを開けます。リーダー機はKEI「キネティック・エネルギー・インパクター」とも呼ばれ、秒速10キロから30キロにも及ぶ衝突エネルギーを利用します。
そしてフォロワー機の核爆発装置NED(ニュークリア・エクスプローシヴ・デヴァイス)をクレーターに突入させて地下核爆発を起こさせるというものです。

▲核弾頭を搭載した「HAIV」。中規模の惑星探査機といった感じです。(Credit:NASA)

▲リーダー機が作り出したクレーターに突入するフォロワー機(Credit:NASA)

▲70メートルの小惑星に核出力70キロトンの核弾頭を衝突させた場合のシミュレーションです。まるで液体であるかのように粉砕されています。(Credit:NASA)
アメリカの大型ロケット「デルターIVヘヴィ」であれば2メガトンの熱核弾頭を搭載して打ち上げられるとの事です。重量に対して絶大な破壊力を得られる核弾頭はこうした小惑星の破壊において非常に有用であると考えられています。
さて、地球に落ちてくる小惑星の破壊に使える核弾頭ですが、もう一つ思いついた用途が科学探査です。
惑星探査機は様々な分析装置を持って行っていますが、その中には対象の小惑星などにどういった物質がどれくらい存在しているかをX線を用いて分析するX線分光計というものが搭載されることがあります。
物質はその種類ごとにX線を照射された時に、蛍光によって出すX線のスペクトル(波長)が異なります。太陽からのX線や、一緒に持っていった放射性物質を利用して、そこからの蛍光を観測することで物質の存在を確認できるのです。これは「蛍光X線分析」と呼ばれています。
また「はやぶさ」のようなサンプルリターンミッションでは地球に持ち帰ったサンプルにX線を照射することで同様の分析を行ったりします。サンプルリターンミッションでは宇宙探査機に搭載する機器よりもずっと大きな地上の分析装置を使えるため、精度よくじっくりと分析できるというメリットがあります。
そうしたX線を利用した分析のほかに、中性子を利用した「中性子放射化分析」という方法があります。中性子を対象の物質に衝突させると核変換が起きて放射性同位体が生み出されます。その放射性同位体が出す放射線のエネルギーと半減期を観測することで、元々どういう物質が含まれていたかを分析する技術です。

▲中性子放射化分析の概要。中性子によって放射性物質へと一旦変換し、その放射線から元々の物質を推定する。(Credit:Missouri University)
そのように放射線を利用した科学観測は惑星探査において一般的に行われているのですが、このX線や中性子線を大量に放出する装置として核爆発装置は利用できないかと思いました。
小惑星で核爆発させた際に放出される強力なX線と中性子線を利用し、小惑星の構成物質を観測できるかもしれません。さらに核爆発による小惑星の軌道の変化を観測すれば重心や比重、内部構造もわかるかもしれません。
極めて強力な放射線源として利用できるため、これまでにない科学観測が可能になるのではないでしょうか。もっとも、核出力や、爆発する位置によっては対象の小惑星は粉々にされてしまう可能性が大ですが…
オマケに地上からの核兵器削減にもなります。核弾頭搭載の宇宙探査機の打ち上げのリスク管理などは考えなければいけませんが、これまでにも核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は開発されてきましたので技術的な問題点はそんなに無いかと思われます。
他にも核爆発装置は宇宙開発において、他の惑星への移民を行う際の土木工事などにも活用できると思います。核爆発装置も人間に危害を加える核兵器としてではなく、こうした地球防衛や科学探査に活用されればと思います。
さて、映画「アルマゲドン」のように小惑星が地球へ衝突しそうだ!となった場合一体どうするのでしょうか?
天体は秒速数十キロというものすごい速さで移動しているため、数キロ程度の小惑星であっても衝突時のエネルギーは凄まじいものになり、全地球規模の気候変動すら引き起こしうる大災厄となります。
その対策の一つとして考案されたのが核弾頭による小惑星の破壊です。NASAの「HAIV」計画では、核弾頭を搭載した宇宙機をロケットで打ち上げ、小惑星にぶつけて破壊して地球に降り注ぐ破片を小さなものにしてしまおうというものです。
An Innovative Solution to NASA's NEO Impact Threat Mitigation Grand Challenge and Flight Validation Mission Architecture Development | NASA
https://www.nasa.gov/directorates/spacetech/niac/2012_phaseII_fellows_wie.html#.VeJ3l_ntlBd

機体は「リーダー機」と「フォロワー機」の2機で構成されています。リーダー機はフォロワー機に先行して小惑星に衝突してクレーターを開けます。リーダー機はKEI「キネティック・エネルギー・インパクター」とも呼ばれ、秒速10キロから30キロにも及ぶ衝突エネルギーを利用します。
そしてフォロワー機の核爆発装置NED(ニュークリア・エクスプローシヴ・デヴァイス)をクレーターに突入させて地下核爆発を起こさせるというものです。

▲核弾頭を搭載した「HAIV」。中規模の惑星探査機といった感じです。(Credit:NASA)

▲リーダー機が作り出したクレーターに突入するフォロワー機(Credit:NASA)

▲70メートルの小惑星に核出力70キロトンの核弾頭を衝突させた場合のシミュレーションです。まるで液体であるかのように粉砕されています。(Credit:NASA)
アメリカの大型ロケット「デルターIVヘヴィ」であれば2メガトンの熱核弾頭を搭載して打ち上げられるとの事です。重量に対して絶大な破壊力を得られる核弾頭はこうした小惑星の破壊において非常に有用であると考えられています。
さて、地球に落ちてくる小惑星の破壊に使える核弾頭ですが、もう一つ思いついた用途が科学探査です。
惑星探査機は様々な分析装置を持って行っていますが、その中には対象の小惑星などにどういった物質がどれくらい存在しているかをX線を用いて分析するX線分光計というものが搭載されることがあります。
物質はその種類ごとにX線を照射された時に、蛍光によって出すX線のスペクトル(波長)が異なります。太陽からのX線や、一緒に持っていった放射性物質を利用して、そこからの蛍光を観測することで物質の存在を確認できるのです。これは「蛍光X線分析」と呼ばれています。
また「はやぶさ」のようなサンプルリターンミッションでは地球に持ち帰ったサンプルにX線を照射することで同様の分析を行ったりします。サンプルリターンミッションでは宇宙探査機に搭載する機器よりもずっと大きな地上の分析装置を使えるため、精度よくじっくりと分析できるというメリットがあります。
そうしたX線を利用した分析のほかに、中性子を利用した「中性子放射化分析」という方法があります。中性子を対象の物質に衝突させると核変換が起きて放射性同位体が生み出されます。その放射性同位体が出す放射線のエネルギーと半減期を観測することで、元々どういう物質が含まれていたかを分析する技術です。

▲中性子放射化分析の概要。中性子によって放射性物質へと一旦変換し、その放射線から元々の物質を推定する。(Credit:Missouri University)
そのように放射線を利用した科学観測は惑星探査において一般的に行われているのですが、このX線や中性子線を大量に放出する装置として核爆発装置は利用できないかと思いました。
小惑星で核爆発させた際に放出される強力なX線と中性子線を利用し、小惑星の構成物質を観測できるかもしれません。さらに核爆発による小惑星の軌道の変化を観測すれば重心や比重、内部構造もわかるかもしれません。
極めて強力な放射線源として利用できるため、これまでにない科学観測が可能になるのではないでしょうか。もっとも、核出力や、爆発する位置によっては対象の小惑星は粉々にされてしまう可能性が大ですが…
オマケに地上からの核兵器削減にもなります。核弾頭搭載の宇宙探査機の打ち上げのリスク管理などは考えなければいけませんが、これまでにも核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は開発されてきましたので技術的な問題点はそんなに無いかと思われます。
他にも核爆発装置は宇宙開発において、他の惑星への移民を行う際の土木工事などにも活用できると思います。核爆発装置も人間に危害を加える核兵器としてではなく、こうした地球防衛や科学探査に活用されればと思います。
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