「もんじゅ」や核燃料サイクルは、ほんとうに「高い?」

原子力
11 /22 2015
60年代から今まで12兆円の費用を使い、毎年2千億円かかると言われる核燃料サイクル。
確かに一群の「施設」と見ると高額ですが、電力と核燃料という二つの「インフラ」と考えてみるとどうでしょうか。

新東名高速道路…総工費7兆円
NTTの光ファイバー敷設…2.5兆円
2020年以降の老朽水道管の修繕…毎年1兆円


と、生活に欠かせないインフラの整備には数兆円単位のお金がかかってしまうものです。何しろ規模が大きいので、システムとして全体を整備しようとすると結構な金額がかかってしまいます。そう考えると核燃料サイクルは求められる技術の高さを考えても「とんでもなく高すぎる」って訳でもなさそうに思います₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾

核燃料サイクルはウランやプルトニウム資源の有効活用としてだけではなく、原子力発電所からの「核のゴミ」と言われる高レベル放射性廃棄物を分別して量を大幅に抑えられるのです。資源を確保するだけではなく、放射性廃棄物を低減し、管理しやすくするという意味でも重要なのです。


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(ATOMICAより)


例えば、使用済み核燃料を再処理せず、そのまま廃棄する「直接処分」では、有害度は天然ウラン程度まで落ち着く目安として約10万年と言われていますが、再処理を利用することで軽水炉の場合で約8千年、高速炉を用いた場合で約300年程度まで圧縮できます。もちろん、再処理で生じる多くの廃液も放射性廃棄物として処理する必要がありますが、これは低レベル放射性廃棄物であるため、高レベル放射性廃棄物程の厳重な管理はそこまで必要とされません。

また、再処理の工程において、有用な放射性物質を分離して製品として活用するという方法もあります。例えば発熱性の放射性物質は宇宙用の原子力電池に利用するなどの方法が考えられます。

高速増殖炉や核燃料サイクルが考えられた当初より、採掘できるウランの量が増えて価格が下がったため、現在のところコスト的な面では核燃料を再処理したほうが高くついてしまいます。しかしエネルギーのインフラ維持という意味で、海外からの資源輸入に頼らずに済むため、「何か突然情勢が悪化して資源が手に入らなくなってしまった!」という非常時でもエネルギー源を確保しやすいという意味があります。

核燃料サイクルが「単体の高額な施設」と叩かれがちなのは、少ない核燃料で大きなエネルギーを生み出せる原子力のメリットの裏返しと言えるかもしれません。複数の原子力発電所の核燃料をまとめて処理をするため、必要な工場は数カ所で済みます。

もちろん開発中の技術も多いので本格的な実用化にはもうちっと時間がかかりますが、実現すればこうしたメリットもあるんですよーといった感じです(∩´∀`)∩
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今井智大原子力

いまいともひろです。

偉大なる88年生まれ
偉大なる三重県出身 偉大なる東京都在住
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