日本が打ち上げるUAEの火星探査機「アル・アマル」
宇宙
先日、三菱重工がアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機打ち上げを受注したことが報道されました。

▲火星上空の「アル・アマル」の勇姿(Image:UAESA)
2020年に打ち上げられるこの火星探査機の名は、アラビア語で「希望」「望み」を意味する「アル・アマル」と呼ばれています。
探査機の科学目的
探査機はアラブ首長国連邦の建国五十周年を記念して打ち上げられるものであり、科学目的としては、火星大気の観測を主な目的としています。火星大気の上層部と下層部とでどのような相互作用が起きているのかといった内容の観測を行います。
そして、火星全体での大気や気候変動をモデル化し、現在は希薄となった火星の大気がこれまでどのように失われていったのか、そういった謎を解き明かすことを目指す探査機です。
つまり、火星表面近くに存在している水分や、氷の雲、砂嵐、わずかな二酸化炭素の大気と、火星上層部において酸素や水素が失われていった事の関連・相互作用を調べるのです。それらの観測データは1テラバイト程になると予想されています。
探査機の機体
探査機は、三枚の展開式太陽電池パドルを持つ、重量1.5トンのアルミニウム・ハニカム構造の六角柱状です。全長は2.9メートル、幅は2.37メートルです。
推進系、つまり探査機に搭載されているロケットエンジン(スラスター)については、500~600ニュートンといった大型のものを1基搭載するのではなく、120ニュートンのものを4~6基搭載する予定であり、万が一のトラブルの際の冗長性を確保する目的があるのかもしれません。
宇宙探査機において、こうした複数の小型スラスターを組み合わせてクラスター化して運用した機体としては、アメリカNASAの火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」や、同じくNASAの月探査機「ルナー・リコネッサンス・オービター」等が挙げられます。

(Image:UAESA)
観測機器
「アル・アマル」の観測機器は3つの機器を搭載しています。
Emirates eXploration Imager(EXI)
高解像度のカラー画像撮影や、火星大気中の氷や砂塵、オゾンの観測を行う装置です。
Emirates Mars Ultraviolet Spectrometer(EMUS)
紫外線を利用して、火星全体の上層大気から酸素や水素がどのように離脱していくかを観測する装置です。
Emirates Mars InfraRed Spectrometer(EMIRS)
赤外線を利用して、火星大気の温度分布のほか、氷、水蒸気、塵の観測を行う装置です。
探査機の重量の割に観測機器の数は抑えられているような印象を受けます。
日本の火星探査機「のぞみ」では500キログラムの機体に14もの観測機器を搭載していたのは、流石にちょっと多いと思いますけれども、最新のNASAの火星探査機「MAVEN」においては、8つの観測機器が搭載されています。
これは恐らく火星周回軌道へ投入への技術実証が主な目的で、科学観測はあくまでも付随ミッションであるのかなと思います。本格的な科学観測ミッションはこの「アル・アマル」に続く機体で行うのでしょう。
日本は1998年に、宇宙科学研究所が火星探査機「PNALET-B/のぞみ」を打ち上げました。
「のぞみ」は残念ながら火星周回軌道へ到達することが叶いませんでしたが、
この「アル・アマル(のぞみ)」は無事に火星周回軌道に到達できますよう!
三菱重工業は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ政府宇宙機関であるMBRSC(The Mohammed bin Rashid Space Centre)から、火星探査機の打上げ輸送サービスを受注しました。UAE建国50周年を迎える2021年に、中東初となる無人探査機の火星到着を目指すもので、2020年にH-IIAロケットでの打上げを予定しています。
UAEドバイのMBRSC から火星探査機打上げ輸送サービスを受注

▲火星上空の「アル・アマル」の勇姿(Image:UAESA)
2020年に打ち上げられるこの火星探査機の名は、アラビア語で「希望」「望み」を意味する「アル・アマル」と呼ばれています。
探査機の科学目的
探査機はアラブ首長国連邦の建国五十周年を記念して打ち上げられるものであり、科学目的としては、火星大気の観測を主な目的としています。火星大気の上層部と下層部とでどのような相互作用が起きているのかといった内容の観測を行います。
そして、火星全体での大気や気候変動をモデル化し、現在は希薄となった火星の大気がこれまでどのように失われていったのか、そういった謎を解き明かすことを目指す探査機です。
つまり、火星表面近くに存在している水分や、氷の雲、砂嵐、わずかな二酸化炭素の大気と、火星上層部において酸素や水素が失われていった事の関連・相互作用を調べるのです。それらの観測データは1テラバイト程になると予想されています。
探査機の機体
探査機は、三枚の展開式太陽電池パドルを持つ、重量1.5トンのアルミニウム・ハニカム構造の六角柱状です。全長は2.9メートル、幅は2.37メートルです。
構体系 | 軽量アルミニウム・ハニカム構造 全長:2.9メートル 全幅:2.37メートル 重量1500キログラム |
---|---|
電源系 | 3枚の展開式太陽電池パドル、電気出力600ワット |
通信系 | 直系の1.5メートルのハイゲイン(高利得)アンテナ 無指向性のローゲイン(低利得アンテナ) |
通信速度 | 火星が地球に接近している時点で1.6Mbps(メガビット毎秒) |
誘導 | スタートラッカー・太陽センサ |
姿勢制御 | 5ニュートン化学スラスター×8~12基 三軸姿勢制御用リアクションホイール |
推進系 | 120ニュートン化学スラスター×4~6基 |
推進系、つまり探査機に搭載されているロケットエンジン(スラスター)については、500~600ニュートンといった大型のものを1基搭載するのではなく、120ニュートンのものを4~6基搭載する予定であり、万が一のトラブルの際の冗長性を確保する目的があるのかもしれません。
宇宙探査機において、こうした複数の小型スラスターを組み合わせてクラスター化して運用した機体としては、アメリカNASAの火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」や、同じくNASAの月探査機「ルナー・リコネッサンス・オービター」等が挙げられます。

(Image:UAESA)
観測機器
「アル・アマル」の観測機器は3つの機器を搭載しています。
Emirates eXploration Imager(EXI)
高解像度のカラー画像撮影や、火星大気中の氷や砂塵、オゾンの観測を行う装置です。
Emirates Mars Ultraviolet Spectrometer(EMUS)
紫外線を利用して、火星全体の上層大気から酸素や水素がどのように離脱していくかを観測する装置です。
Emirates Mars InfraRed Spectrometer(EMIRS)
赤外線を利用して、火星大気の温度分布のほか、氷、水蒸気、塵の観測を行う装置です。
探査機の重量の割に観測機器の数は抑えられているような印象を受けます。
日本の火星探査機「のぞみ」では500キログラムの機体に14もの観測機器を搭載していたのは、流石にちょっと多いと思いますけれども、最新のNASAの火星探査機「MAVEN」においては、8つの観測機器が搭載されています。
これは恐らく火星周回軌道へ投入への技術実証が主な目的で、科学観測はあくまでも付随ミッションであるのかなと思います。本格的な科学観測ミッションはこの「アル・アマル」に続く機体で行うのでしょう。
日本は1998年に、宇宙科学研究所が火星探査機「PNALET-B/のぞみ」を打ち上げました。
「のぞみ」は残念ながら火星周回軌道へ到達することが叶いませんでしたが、
この「アル・アマル(のぞみ)」は無事に火星周回軌道に到達できますよう!
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