北朝鮮の核実験の実態やいかに!? ~プルトニウム生産能力と「ブースト原爆」の脅威~

核兵器
09 /10 2016

先日北朝鮮がやっちゃった核実験、核出力10キロトンということで弾道ミサイル開発に加えてこちらも確実に実用化に近づいておりますねェ(´ºωº`) 実は北朝鮮は今年6月の段階で核兵器用プルトニウムの生産を再開してたっぽい事がIAEAから発表されてました(゜д゜)


熱出力5000キロワットの黒鉛炉の稼働と再処理施設の動きから作られたというプルトニウムが今回使われたのかもしれません。北朝鮮がどれくらい核兵器に適した高純度のプルトニウム239を、再処理で抽出できるかはわかんないんですけど、今年1月の「水爆実験」と称した核実験が気になります。

ブースト原爆の可能性


水爆程ではないにしろ、同じように核融合を利用して中性子で原爆の出力を増強させるという「ブースト原爆」の実験だったとしたら…

ブースト原爆は、プルトニウムの核分裂の熱エネルギーで重水素とトリチウムを核融合させ、その時出る中性子でプルトニウムをさらに核分裂させて核兵器としてのパワーを向上してます。
つまり普通は十分な核爆発に至れないような多少質の悪いプルトニウムでも核爆発できるレベルまでもっていけるかも?という。トリチウムをリチウムから生産するための設備が必要になったり、ブースト原爆の開発も大変です。
リチウムに中性子を照射する原子炉と、照射した後にそこからトリチウムだけを単体で取り出す必要があるのです。あと質の悪いプルトニウムは同位体比の関係で放射線量と発熱量が多くなる場合があって、組み立て時の被曝とか、発熱の機器への影響があったり。
普通に原爆を作るより技術が必要になる場合もあるのです。核兵器の拡散防止を担保してるのは「保障措置」というウランやプルトニウムみたいな核分裂性物質の規制や管理なのです。

それに比べて核融合燃料の重水素やトリチウムは入手は遥かに容易で、重水素なんてそこら辺の海水から分離できます。トリチウムは原子炉があれば副産品として作れますし。

核兵器の拡散は防げるか?


核兵器の拡散防止のため、IAEAではプルトニウムの質の良し悪しは特に関係なく「プルトニウム238が80パーセント以上のもの以外」すべて保障措置の対象です。ちなみにプルトニウム238の割合が80パーセント以上のプルトニウムって何かというと、宇宙探査機用の原子力電池に利用される熱源です。
プルトニウム238は他のプルトニウム同位体と比較して発熱量と、中性子線量が桁違いに大きく、プルトニウム238は最も核兵器に使用できないプルトニウム同位体なのです。原子力発電所の核燃料にプルトニウム238を混ぜることで、その核燃料が核兵器の原料に転用されにくくする研究もあります。
なので核兵器に適したプルトニウム239が93パーセント以上という、いわゆる「兵器級プルトニウム」じゃなくても核兵器に転用できる可能性が(将来含めて)ありえるかもって事かもしれません。この重水素とトリチウムの核融合による「ブースト」技術などがあれば、必ずしも兵器級と言われる程質の良いプルトニウムでなくても、核兵器に転用できる可能性があるということです。
もちろん高品質な兵器級プルトニウムを作れるに越したことはありませんが、比較的入手しやすい技術で、核兵器には「兵器級プルトニウムが必要」という条件を緩和できるかもしれないのです。その点北朝鮮がどれくらい技術やノウハウがあるのかは未知数ですが、脅威の度合いは時間と共に大きくなっているのです。
つまり北朝鮮に兵器級プルトニウムを作る能力があればもちろん脅威ですし、兵器級プルトニウム程質の良いプルトニウムを作れなくても、ブースト原爆などの技術が確立されてればそれも脅威というわけなのです。
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今井智大原子力

いまいともひろです。

偉大なる88年生まれ
偉大なる三重県出身 偉大なる東京都在住
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