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【北朝鮮】弾道ミサイルなのか、宇宙ロケットなのか

その他
04 /15 2012
北朝鮮のアレは

「ロケットと称するミサイル」

というよりは、

「ミサイルの試験も兼ねたロケット」

じゃないかと思ってます。

恐らく衛星も積んでたでしょう。




ロケットとミサイルの基礎的な技術は一緒です。

違うのは

・お荷物を地上に落下させる弾頭なのか、それとも軌道に投入する衛星なのか。

・弾頭と衛星、それぞれに合わせた飛行速度と飛行経路(トラジェクトリー)。

・ぶっぱなしたい時にぶっぱなせる、即応性。




速度

弾頭か衛星かは速度によります。

物体が衛星として、延々と地球を周回し続けるには第一宇宙速度、秒速約7.9キロのスピードを出さなきゃいけない。

モノをゆっくり投げると手前に落ちる。速く投げると遠くに落ちる。そしてどんどんスピードを上げていくとやがて地球を一周するわけです。

そしてそれが空気抵抗のない宇宙空間なら減速すること無くそのままずっと周り続ける。これが人工衛星です。

これより遅いと重力に負けて落っこちてくるのでこれが弾道ミサイルなのです。キャー



飛行経路

飛行経路もそう、衛星はスピードを出さないといけないので垂直に上昇すると、途中から水平飛行になります。

簡単に言うと二段式のロケットの場合、一段目で高度を上げ、二段目でスピードを上げる感じです。

ミサイルなら衛星よりも遅く、落下軌道に入るのでそれをレーダで追っかけてればわかります。

まあ結局これらは「発射してから」でないとわからないものです。



即応性

そうなるとロケットかミサイルかよくわからないものを判断するのが「即応性」です。

ロケットはだいたい何月何日何時何分にどこどこから打ち上げますって決めてるのが前提なのに対して

ミサイルは、よーし!撃っちゃうぞ!今すぐ撃っちゃえ!って言ってすぐ撃てないといけないのです。



燃料の問題

例えば皆様ご存知、国産のH-IIAロケットなんぞは全くミサイルに向かないです。

まず使ってる燃料。液体酸素と液体水素。これは発射する直前に注入しないといけない。

物凄い低温なので入れっぱなしにしておくと蒸発しちゃうし、水素は原子がちっちゃいから燃料タンクから抜けていってしまいます。ヘリウム風船と一緒な感じ。

そして発射する形態。ロケットは普通に地上にデンと設置して打ち上げてる。

どうみても的になります。

撃つぞーって言ってせこせこと燃料を入れてるスキに敵のミサイルなり何なりが飛んできておじゃんです。

あとコストもできるだけ安い方が理想的です。



対してミサイル。いつでも撃てるように常温で保存できる燃料を使ってます。しかも二種類の液体を混ぜるだけで勝手に火が着いて「ハイパーゴリック系推進剤」なのです。

よくあるのが非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素というスーパー猛毒な液体で蒸気を吸い込むだけで肺が焼けて皮膚が溶けます。ヤバイ。

もちろん燃焼したガスも毒。ヤバイ。

そして発射形態も地下深くに建造された「ミサイルサイロ」から打ち上げるのが普通です。

装甲板で覆われたフタで閉じられ、撃つ時はそこをパカッと開けてドカーンと撃つわけです。

そうして地下から発射するための技術が必要になるわけです。

ミサイルはもう安全保障に関わる装備なのでコストよりも撃ちたい時に確実に撃てる信頼性に重きが置かれるのです。


燃料には液体燃料の他に固体燃料もありますが、これは出力調整が難しいのと比推力(燃費)が液体燃料に劣るので、もう一段余計にロケットを搭載する必要があります。

M-Vやイプシロンを始めとした国産の固体燃料ロケットのも3段式です。そういう点からミサイルに使う場合、弾道ミサイルと比べて小型な対空ミサイルなどに使われます。




つまり同じような技術ですが、設計する段階で考え方が全く違うんです。

例えば包丁と日本刀。

どっちも刃物ですが、特化してる方向性が全く違います。

包丁では戦いにくすぎるし、日本刀で料理なんてやりにくすぎる。




ただ戦略兵器削減条約などで段階的に廃止された弾道ミサイルが宇宙ロケットに改造された例はあります。

ロシアの「ロコット」という可愛らしい名前の宇宙ロケットは、元々SS-18という世界最大級の重大陸間弾道弾(重ICBM」)でした。

二段式のミサイルですがもちろんミサイルそのままでは人工衛星に必要な速度を与えられないので、三段目「ブリーズM」を増設して三段式の宇宙ロケットとしました。




じゃあ北朝鮮のアレはなんだ!っていえば、元々はソ連のミサイル技術を応用発展させているものなので燃料は弾道ミサイルでよく使用されるものです。

恐らく常温で保存可能な非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素、もしくは古いタイプを使い続けてるのであれば、非対称ジメチルヒドラジンと赤煙硝酸の組み合わせではないかと。

しかし発射設備を見れば大きな”やぐら”を組み、地上に設置しております。現代では良い的になってしまうのです。




人工衛星打ち上げは国威発揚もあって恐らく本当にやるつもりだったんじゃないかと思います。

発表された写真を見ても、衛星として基本的な太陽電池展開機構や全方位通信アンテナ、地平線センサらしき装備が見受けられます。

現代は半導体が小型化されてるのであの100kgのサイズでも限定的ながらある程度の観測能力は持たせられます。

もちろん自前の技術だけじゃなく、海外の同クラスの衛星の設計を入手した可能性も十分あるので、北朝鮮がそういう衛星を持つ自体は不思議でもないです。




じゃあ100パーセント平和利用かと言えばそういうわけでもないハズです。

ロケットの飛行中のデータ(テレメトリ)を取る事で制御する技術なんかを取得出来ます。

データは今後のミサイル開発においても十分活用できるものになるはずです。

冷戦時代のアメリカやソ連でも、ミサイルとロケットは並行して開発されてきた歴史もあるわけで。

宇宙開発競争も軍拡競争と国威発揚の一端があるのです。




結局現状では、北朝鮮が保有している大陸間弾道ミサイルは攻撃用として十分じゃないと思うんです。

それこそ現代のロシアやアメリカ、イギリスなどが核戦力として保有する弾道ミサイルと比べたら数十年前の技術の焼き直しでしかないです。

そして北朝鮮が作ったという核兵器の搭載も恐らく難しいかと思います。

核兵器は非常に重いものなので、弾道ミサイル積めない可能性があります。

逆に軽量な核兵器の開発も非常に難しいものです。核反応を臨界状態にして、起爆するための爆縮レンズという技術とか。

核兵器の維持するにも技術や手間もかかるので、ミサイル本体の維持も合わせて本格的な大陸間弾道ミサイルを運用するには結構時間がかかるかと思うのです。

おまけにそれを量産して多数配備するとなると結構ハードルは高いです。




今日テレビで出ていた新型の道路移動型の弾道ミサイル搭載車両、これもミサイルが「横倒しの状態で積まれてる」所に注目。

あのサイズのミサイルが、燃料を満載した状態で横倒しの状態から直立させようとすると、重すぎて自分の重さで折れてしまいます。

つまり立ててから燃料を注入することになると思うんですが、これだとやっぱりサイズもデカいので燃料注入に時間もかかります。やっぱりこのタイミングが無防備になります。



そしてミサイルだけ撃ってもしょうがないのです。最終的に反撃されて逆に攻め込まれるだけです。

北朝鮮がこの後のロケット打ち上げとミサイル開発をどうするつもりか、ちょっと注目です。
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ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住

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