【宇宙】土星探査機「カッシーニ」のリモートセンシングパレット

宇宙
04 /03 2013
1997年に打ち上げられ、2004年に土星周回軌道に投入されてから今も活躍を続けるNASAの土星探査機カッシーニ。

6トン近い大型の機体に、3基の原子力電池や2基のメインエンジン、衛星タイタンへの着陸船「ホイヘンス」多くの科学観測機器を搭載しています。

その中でも光学的な科学機器にスポットを当ててみました。

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Credit:NASA/JPL/SPILAB
上の写真がカッシーニのリモートセンシングパレットと呼ばれる観測機器群です。
右側に居る人と比較すると非常に大きな装置であることがわかります。

この写真はリモートセンシングパレットのカッシーニへの搭載に向けて作業中のようで、左には位置を変えて作業するためのタレットのような装置が見えます。

下記の図では上下が逆になってしまいますが、図の通りに機器が配置されています。

R1111596.jpg
Credit:NASA/JPL

この図の上から機器を解説していきますと、

●VIMS(可視光・赤外線マッピング分光計)
これは可視光と赤外線の両方のバンドを用いて土星やその衛星を観測する装置です。土星の環や大気、衛星の地表などがどういった化学組成を持つのか300nm~5100nmの広い波長から分析をすることができます。
機器は可視光をとらえる「VIMS-V」と赤外線をとらえる「VIMS-IR」の2つで構成されていて、「VIMS-V」は96チャネル、「VIMS-IR」は256チャネルものバンドを持ちます。

●UVIS(紫外線イメージング分光計)
この装置は紫外線を捉えることで大気や地表のリモートセンシングを行います。この機器は遠紫外線を捉えて土星のリングやタイタンの大気を探る「FUVチャネル」と、極端紫外線を捉えて土星の大気の構造やその組成を分析する「EUVチャネル」の2つを持ちます。55.8~190nmの間の波長の光を捉えることができます。

●ISS(画像科学サブシステム)
まさにカッシーニの目と言っても過言ではないカメラです。広角カメラ「ISS-WAC」と望遠カメラ「ISS-NAC」の2つで幻想的で壮大な土星系の美しい映像を送ってきてくれます。「ISS-WAC」は焦点距離20cm、F/3.5のカメラで18のフィルタを持ちます。「ISS-NAC」は焦点距離2m、F/10.5の24のフィルタを持つカメラです。フィルタを変えて撮影することで科学観測を行えるほか、画像合成によりカラー画像の取得ができます。毎月平均して2700枚もの写真を送ってきてくれています。また、カッシーニを正しい軌道で飛行させる事ができるよう、ナビゲーションシステムとしての役割もあります。

●CIRS(コンポジット赤外線分光計)
直径50cmもの反射望遠鏡と3つの赤外線フォーカルプレンアレイセンサを持ち、熱源を捉えることができます。熱の放射や吸収を分析することで大気の観測を行い、その分布を知ることができます。センサは遠赤外線を捉える「FP1」と、中間赤外線を捉える「FP3」と「FP4」で構成されています。

●Stellar Reference(恒星姿勢計)
CCDカメラにより恒星を捉える事でカッシーニ自身が自分の姿勢を把握し、それを元に制御を行う2つのユニットから恒星される機器です。スタートラッカとも呼ばれる装置です。リモートセンシングパレットの科学観測機器とは光軸が90度ずらされており、科学機器が土星やその衛星に向けられている最中にも、スラスタやリアクションホイールを用いた正確な姿勢制御を実現しています。


開発されたのは15年も前ながらも、年代を感じさせない高性能な観測機器により、美しい土星の映像を日々送り届けてきてくれます。今後の活躍にも大変期待したいところですね。

カッシーニに関してはNASA、ジェット推進研究所(JPL)の公式サイト(NASA - Cassini)で最新の情報や写真を見ることができます。
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ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住