原子力電池のプルトニウム238の自発核分裂による中性子の影響と利用

宇宙
06 /20 2013

原子力電池のプルトニウム238の自発核分裂による中性子の影響と利用



原子力電池に使われているプルトニウム238は偶数の質量数と、比較的短い半減期から自発核分裂性があります。核兵器開発でその同位体比率が問題になるプルトニウム240程ではないもの、その核分裂中性子や即発ガンマ線などが観測機器のノイズとして影響しないかが気になる点です。

実際にキュリオシティには放射線環境を調査する「RAD」という装置が搭載されており、荷電粒子や中性子等を検出可能ですが、中性子検出用のCsl(Ti)プラスチックシンチレータでは低エネルギー領域において原子力電池からの中性子によるノイズが大きいそうです。

http://wrmiss.org/workshops/fifteenth/Hassler.pdf
Space Radiation Dosimetry with the Radiation Assessment Detector (RAD) on the Mars Science Laboratory (MSL)

また、逆にこの原子力電池による中性子を利用した水素含有量等の分析ができないか、という米ロスアラモス国立研究所の研究資料もありました。それによると銀河宇宙線(GCR)に由来する中性子(荷電粒子による核破砕?)を利用する場合よりも単位時間あたりのカウント数が50倍以上のフラックスがあるそうです。

その為、1%精度での観測を行う場合、銀河宇宙線利用で2.5時間かかっていた所をRTGのプルトニウムの自発核分裂を用いる事で、1.8分まで短縮できるそうです。

http://www.lpi.usra.edu/meetings/lpsc2003/pdf/1763.pdf
EFFECTS OF AN RTG POWER SOURCE ON NEUTRON SPECTROSCOPY MEASUREMENTS ON THE MARTIAN SURFACE.

原子力電池が電力や、熱源としてだけではなく、科学観測システムの一部としても活躍できるのであれば大変興味深いですね。
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ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住