スポンサーサイト

スポンサー広告
-- /-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013年火星の旅~メイヴァンとマンガルヤーン~

宇宙
11 /07 2013

▲火星探査機「メイヴァン」 Photo: Lockheed Martin


▲火星探査機「マンガルヤーン」 Photo: Indian Space Research Organization

さて、今年もやってまいりました!二年に一度の火星探査機打ち上げ期間!

火星探査機というのは火星に行く惑星探査機です。

地球も火星も太陽の周りを公転していますが地球は1年、火星はその倍の約2年で1周しています。

そのため地球から最短コースで行けるタイミングは2年に一度訪れるというわけです。

2年前はアメリカの火星探査車「キュリオシティ」と、火星の衛星フォボスからのサンプルリターンを目指したロシアの「フォボス・グルント」が打ち上げられました。

フォボス・グルントは地球から打ち上げ直後、上段ステージ「フレガートSB」の点火トラブルにより火星へと向かう事はできませんでしたが、キュリオシティは無事、翌年2012年8月に着陸に成功、今も探査を続けています。

そして今年2013年も火星探査機打ち上げの年がやってまいりました!

今回打ち上げられるのはアメリカの「メイヴァン」、そしてインドの「マンガルヤーン」の2機です。

先日マンガルヤーンは無事に打ち上げられました。

ではこの2機を比較してみましょう。

メイヴァン名称マンガルヤーン
アメリカ運用国インド
オービター(軌道周回機)種別オービター(軌道周回機)
アトラスV 401打上機PSLV-XL C25
2013/11/18(予定)打上日2013/11/5
2014/9/22(予定)軌道投入日2014/9/21(予定)
150×6,200km観測軌道377×80,000km
75.5°軌道傾斜角17.864°
2,550kg全備重量1,350kg
こうして見るとマンガルヤーンはメイヴァンと比較して重量は半分ほどの比較的軽量な探査機であることが伺えます。

メイヴァン


Image: NASA/LASP

NASA、JPL(ジェット推進研究所)が運用する最新鋭の火星周回機です。重量はマンガルヤーンと比較して約二倍の大型の火星探査機です。アメリカの周回機としては2005年8月12日に打ち上げられ、2006年3月10日に火星周回軌道へ投入されたMRO、「マーズ・リコネッサンス・オービター」以来の機体となります。MROが1トン少々なのに対してメイヴァンはかなり大型の機体であることが伺えます。

理学探査を目的としており、その内容は太陽風と火星大気との相互作用の研究にあります。火星は地球と比較して地殻運動が殆どなく、マントル対流も無い事から非常に弱い地磁気しか持っていません。

そのため大気がバンアレン帯に守られておらず、太陽風によって大気がどんどん剥ぎ取られてしまいます。火星は地球と比較して大気が非常に薄く、気圧が非常に低い理由の一つであると考えられています。

そのためこの探査機では火星の大気が太陽風に影響されてどのように剥ぎ取られていってしまっているのか、その謎を究明する目的を持っています。

これは1998年に日本が打ち上げ、残念ながら到達できなかった火星探査機「のぞみ」が解き明かそうとした内容でもあり、今なお研究の対象として視線が注がれている分野であることが伺えます。

メイヴァンに搭載された観測機器は以下のとおりです。

粒子・領域観測機器(P&F:Particles and Field)パッケージ
・太陽風電子検出器(SWEA:Solar Wind Electron Analyzer)
・太陽風イオン検出器(SWIA:Solar Wind Ion Analyzer)
太陽風の荷電粒子が火星の上層大気に当たり、相互作用を起こすと大気は電離されて高いエネルギーの電子やイオンが作り出されます。この粒子のエネルギーは運動エネルギーであり、言わば加速器のように電子やイオンが高エネルギーで加速さた状態という事になります。この2つの検出器は、どれくらいのエネルギーでどれくらいの荷電粒子がどのように加速されたかといった事を解き明かす事につながります。

・低エネルギー・熱的イオン検出器群(STATIC:SupraThermal And Thermal Ion Composition)
イオンの運動エネルギーは太陽風との相互作用を受けた粒子のうち、低いエネルギーのイオンである熱イオンを観測する検出器です。大気の組成において重要となる熱イオンを主に観測します。

・太陽風高エネルギー荷電粒子検出器(SEP:Solar Energetic Particle)
火星上層大気に衝突する際の太陽から飛来する電子や陽子などの荷電粒子を観測します。

・ラングミューアプラズマ検出器(LPW:Langmuir Probe and Waves)
火星上層大気の電離層や、逸脱していくイオンなどを観測します。探針法とも呼ばれるこの方法ではプラズマ環境中に電極を入れ、その電流によりプラズマの荷電粒子の密度や温度、エネルギーの分布を観測するというものです。

・磁力計(MAG:Magnetometer)
火星周辺の磁気環境を観測するためのものです。高層大気における太陽風との相互作用において生じる電離磁場を観測することができます。探査機が持つ磁場がノイズとなって観測に影響を与えないよう、伸展ブームの先に取り付けられています。

リモートセンシング機器(RS:Remote Sensing)パッケージ
・紫外線分光撮像器 (IUVS:Imaging Ultraviolet Spectrometer)
水素原子が出すライマンアルファ光により水素や重水素の存在分布の観測を行う事で、上層大気と電離層の全球的な組成や構造を観測することができる装置です。入射スリットからの光は回折格子やプリズムを介し、セシウムテルルの光電面を利用したイメージインテンシファイアの検出器により検出されます。

中性ガス・イオン質量分析計 (NGIMS:Neutral Gas and Ion Mass Spectrometer) パッケージ
電気的に中性な粒子を検出するための機器です。四重極質量分析計では、4本の電極の間に試料のイオンを通過させつつ、電極の周波数や電圧を連続的に変化させます。そうすることで、特定の振動運動の周期に合致したイオンのみが先端の検出器で検出できる仕組みです。他の周期を持つイオンはそのまま周囲の電極へと衝突します。言わば荷電粒子の「ふるい」のようなものです。





マンガルヤーン


Image: Indian Space Research Organization

マンガルヤーンはインド初の火星探査機です。日本に続いてアジアで二番目に打ち上げられた火星探査機であり、到達に成功すればアジア初となります。

この探査機は工学実証をメインとした機体であり、インドが宇宙探査機の運用能力を獲得することを目指しています。もちろん理学探査も目標の一つとしており、火星表面の特徴やその形態の鉱物学的な観測、上層大気の水素のライマンアルファ光やメタンなどの観測、電気的に中性な粒子を観測する質量分析計などを搭載しています。

つまりはメイヴァンが火星上層大気の細かな観測を目的とし、マンガルヤーンは探査機の技術実証と複数の手段での観測を目的としている、といったところです。

マンガルヤーンに搭載された観測機器は以下の通りです。

大気観測 Atmospheric studies
・ライマンアルファ光分光計(LAP:Lyman-Alpha Photometer)
水素や重水素が放つ紫外線であるライマンアルファ光を観測する機器です。メイヴァンの「IUVS」に相当する機器です。

・火星メタン検出器(MSM:Methane Sensor For Mars)
欧州宇宙機関、ESAの火星探査機「マーズ・エクスプレス」での観測により火星でのメタンの存在が観測されたことから、生命の痕跡である可能性を探ることが目的です。火星のメタンに関しては火星探査車「キュリオシティ」による観測では検出されなかったことが話題になるなど、今後の観測に期待が寄せられています。1642~1658nmの波長域においてメタンを検出することができます。

粒子観測 Particle environment studies
・中性粒子質量分析計(MENCA:Mars Exospheric Neutral Composition Analyzer)
メイヴァンの「NGIMS」に相当する四重極質量分析計です。

地表観測 Surface imaging studies
・赤外線分光撮像器(TIS:Thermal Infrared Imaging Spectrometer)
回折格子を利用した分光計です。鉱物学的に火星表面の岩石の組成などを赤外線で探る装置です。鉱物によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、どのような鉱物がどれくらい存在しているかを観測することができます。

・火星カラーカメラ(MCC:Mars Colour Camera)
火星表面をカラー撮影することのできるカメラです。400~700nmの可視波長をRGBの3バンドのベイヤーパターンフィルタによる撮影で、フィルタを切り替えること無くデジカメのようにカラー写真を撮影することができます。2000×2000ピクセルの解像度を持ちます。




夢と希望を乗せて今年も2機の火星探査機は飛び立ちます(∩´∀`)∩

無事成功しますよう!☆




参考:
http://www.spaceflight101.com/mars-orbiter-mission.html
Mars Orbiter Mission - Spacecraft & Mission Overview(spaceflight101)

http://www.spaceflight101.com/maven-instrument-overview.html
MAVEN Instrument Overview(spaceflight101)

http://moonstation.jp/ja/mars/exploration/Mangalyaan/index.html
マンガルヤーン(月探査情報ステーション)

http://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MAVEN/index.html
メイバン(月探査情報ステーション)
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。