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【原子力電池】プロメチウム原子力電池

原子力
10 /13 2014
原子力電池といえば、宇宙用でも一般的なプルトニウム238の利用が標準的であります。

これはプルトニウム238がアルファ崩壊に伴って放出する熱、崩壊熱を利用して熱電変換することで電力を得るというものです。これは70年代にペースメーカーでも長寿命電源として利用された技術であります。

同じくペースメーカー用の電源としてプロメチウム147と呼ばれる放射性同位体を利用した原子力電池も存在していました。これは崩壊熱ではなく、ベータ崩壊に伴って放出されるベータ線をPN半導体に衝突させることで電力を得る「ベータヴォルタイック」と呼ばれる方式の原子力電池でした。

プロメチウムは火の神、プロメテウスから名を取った元素で、安定同位体の存在しない元素のひとつです。

betacel4003.jpg
▲ベータ線を直接に半導体素子へ照射することで電力を得る

こうしたプロメチウム147を用いたベータヴォルタイック方式の原子力電池として、航空機メーカーのマクドネル・ダグラス社の前身のひとつであるドナルド・ウェルズ・ダグラス研究所が開発した「ベータセル400」と呼ばれる電池が挙げられます。電気出力400μWを得られる原子力電池です。直径は2.29センチ、重量は98グラムです。

betacel400.jpg
▲ベータセル400(Betacel400)外観

betacel4002.jpg
▲ベータセル400(Betacel400)内部

直径内部は2.4テラベクレルの三酸化二プロメチウム(PM2O3)と半導体素子がサンドイッチ構造にされています。開放電圧4.9ボルト、短絡電流112マイクロアンペアです。電力への変換効率は1.7パーセントです。

プロメチウム147は半減期が約2.6年と短くありますが、その分比放射能が高く、熱電変換方式の原子力電池(RTG)と比較して少量で小型な電池を製作することが可能です。

熱エネルギーを用いない原子力電池として、熱電変換方式の原子力電池(RTG)と違い、余熱の利用などはできませんが、逆に熱環境に依存しにくい電源として宇宙開発やその他の特殊電源としての活用方法があるかもしれません。

プロメチウム147の生産は

・熱中性子によるウラン235の核分裂生成物(FP)から分離
・熱中性子によるネオジム146の照射で生成されるネオジム147がベータ崩壊することでプロメチウム147を得る
・陽子加速器を用いてウラン炭化物ターゲットに陽子を照射する
・高速中性子によるウラン238の核分裂生成物(FP)から分離


などの方法が挙げられます。1960年代はアメリカのオークリッジ国立研究所(ORNL)が年間650グラムのプロメチウム147を生産していましたが、1980年代に生産を終了してしまいました。2010年以降に同研究所の高フラックス同位体原子炉(HFIR)を用いてプロメチウム147の生産再開が検討されています。その他ロシアにおいてもプロメチウム147の生産が行われています。

プロメチウム147はこれまで蛍光灯のグロー管や、時計の夜光塗料として用いられていたこともありましたが、近年はそうした産業利用がされていない同位体です。こうしたベータヴォルタイック方式の原子力電池も様々な方法で活用されればと思います。
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ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住

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