水星探査機「ベピ・コロンボ」の「T6」型イオンエンジン

宇宙
03 /23 2015
日本のJAXAと欧州宇宙機関ESAの共同での水星探査計画である「ベピ・コロンボ」

探査機は複数の機体で構成され、磁気圏を探査するJAXAの「MMO」、「MMO」を強烈な太陽光から守る日除け「MOSIF」、地表面などを探査するESAの「MPO」、そしてこれらをひとまとめに水星へと送り届ける推進モジュールの「MTM」となっています。

探査機が水星に行くために欠かせない「MTM」とそのエンジンである「T6」について少し紹介してみたいと思います。

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(Credit:ESA)



「MTM」

水星探査機「ベピ・コロンボ」のMTM(Mercury Transfer Module)はアポロで言うところの機械船、サービスモジュールのようなものです。二液式の化学推進系と、強力な電源装置が付いた電気推進系のシステム一式を備えております。

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▲組立中の「MTM」(Credit:ESA)

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▲「MTM」上にイオンエンジンを設置する「スラスター・フロア」と呼ばれる部分です。各エンジンごとに2軸のジンバルを有しており、エンジン自体を好きな方向に指向させる事ができます。

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▲ジンバルの上に載った「T6」エンジン



「T6」イオンエンジン

推進モジュール「MTM」に搭載される英国クインテック社製、カウフマン型イオンエンジン「T6」の試験の様子です。美しい青い光を放っていますね。

「T6」は超低高度の重力観測衛星「GOCE」に搭載された「T5」の発展型モデルで、静止軌道上の通信衛星にも用いられています。「T6」イオンエンジンは1基あたり145mNの推力を生み出し、探査機を水星へと向かわせます。

この「T6」を4つ搭載する「MTM」は太陽から0.3AU(約4400万キロ)の距離で太陽電池により13.2kWの電力を発生させ、エンジンを作動させています。

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(Credit:NASA)

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(Credit:ESA)
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今井智大原子力

いまいともひろです。

偉大なる88年生まれ
偉大なる三重県出身 偉大なる東京都在住
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