ダイヤモンドの宇宙・原子力利用

その他
06 /14 2015
ダイヤモンドと言えば指輪やネックレスなど宝石として重宝されていますが、材料としての性質も非常に優れたものでもあります。

近年では高温高圧合成(HPHT)法や、化学気相蒸着(CVD)法などにより、人工ダイヤモンドが比較的安価(グラムあたり5万円~25万円程度?)に製造できるようになっています。

身近なところではダイヤモンドの硬さを利用して微粒子状のダイヤモンドを分散させたダイヤモンドカッターなどが一般に販売されています。

半導体として効率や耐圧などの特性も良いので、ダイヤモンド半導体は地球観測衛星のレーダー素子や、放送衛星の進行波管の代替、電車などの大電力機器のインバータ素子、原子力電池の発電素子などに応用できれば高性能が機体できます。

ダイヤモンドは放射線耐性も高く、現在放送衛星の電波を送信する装置に用いられている進行波管と呼ばれる真空管を半導体化できると考えられています。これは将来の8K放送などの超高精細映像の送信にも欠かせないとされています。

原子力電池については、ベータ崩壊核種のベータ線をPN半導体素子に直接衝突させて発電するタイプのベータヴォルタイック方式の原子力電池において、発電用の半導体素子に薄膜ダイヤモンドを用いるものがロシアで研究がなされていました。

熱伝導性も物質中の中で最高に高く、冷却用のヒートシンク材料としても適しています。

半導体素子として優れた性質を持つのはダイヤモンドが持つ5.2eVという広いバンドギャップですが、これにより優れた光学的性質も持ちます。つまり、5.2eV以上のエネルギーを持つ光は吸収されるのですが、これは紫外線領域であるため可視光はすべて透過します。そのためダイヤモンドは透明で美しい外観を持つのです。

さらに波長が短い波長の深紫外線による結晶劣化や、化合物にある構造欠陥などが無いため、250nm以下の深紫外線を発光できるLEDとしても注目を集めています。

また、ダイヤモンドは中性子吸収能が小さく、中性子減速能が大きい炭素原子で構成されているため、熱中性子を用いる原子炉の減速材としても適していると考えられます。同じ炭素原子で構成される黒鉛を中性子減速材として用いた場合には、その結晶面での中性子回折による断面積の変化が生じますが、単結晶のダイヤモンドであればこれが生じにくいと考えられます。冷却面でも熱伝導性の高さが有利に働くのではないでしょうか。

コスト面と製造の問題をクリアできれば宇宙用のみならず原子力関連でも使われる時が来るかもしれません。
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ともにゃん

宇宙開発や原子力が大好きな魔法少女(文系成人男子)です。同人サークル「東方旅客鉄道」「隙間科学研究所」の中の人。絵描いたり同人誌書いたり。たまに女装コスプレイヤー。 人工衛星・宇宙探査機/原子炉・原子力電池/核兵器・軍事(現代兵器)/ゴスロリ女装/自作PC/まどマギ/東方/無線/バイク/鉄道/創作など。日本原子力学会員

88年生まれ
三重県出身 東京都在住